砂のオベリスク~第七大陸紀行~
「エン、案内者についてなんだが……」
「ごめんなさい、何か来たわ」
はじめは岩の影に見えた。洞穴には人ならざる彫刻家の作品がひしめいていた。だから、影も暗く歪んでいるのだ。
だがそれは、気味の悪い染みとなって地面を這い、エンの足元に来るころには平面的なものでなくなっていた。
人の頭によく似た紫紺の液体。
目にあたる部分に淋しげな光を燈して、不規則に脈打つ。
「な、なんだこれは。ここに住んでいるアメーバか何か、かな。どちらにしても、交流はのぞめそうに無いな」
「本物の案内者みたいよ」
「なんだって。何だって!」
「変なにおい。名前がぼやけているわ」