砂のオベリスク~第七大陸紀行~






「やあ、これはこれは」



 目を開けると、引き抜かれたごぼうのような男が立っていた。


彼は山高帽を上げ、口髭を生やした顔を傾けて、私に挨拶をした。



エンの姿を探して視線をさ迷わせた私は、目にした情景に圧倒されて立ち尽くした。



闇を食い破る光に溢れた、そこは夜の街角だったのだ。







雑踏は無秩序に入り乱れ、エンの姿はどこにも無かった。
< 84 / 108 >

この作品をシェア

pagetop