砂のオベリスク~第七大陸紀行~
「おう、街で会うのは久しぶりですな。かれこれ百日ぶりですか」
腹の底に響くような声がして、私の腹から見知らぬ腕が伸びていた。
気が遠くなる私の前で、腕は目の前の男と握手をし、腹の中に引っ込んだ。
「どうですかな。娘さんがご結婚なさったそうですが」
そう言って私と山高帽の男との間に現れたのは、背の高い太った男だ。
彼は文字通り、私の身体を擦り抜けたのだった。
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