溺愛彼氏×ドジな彼女

驚いたように、俺を見る女。
「なぁ、なんでこんなことすんだよ?
 莉音は、悪くねぇだろ?」
いつもより、低い声で言う。

「っ…だって、莉音チャンばっかり…ズルいよ…。」

「は?
 ズルい?」

「何で…莉音チャンなの?
 望クンも、佑斗クンも…。
 なんで…私じゃないのっ?」
そう目を潤ませる女。

「…それがどういう理由であろうと…莉音は悪くねぇだろ?
 だから、もうこんなことすんなよ。
 …俺が莉音と、一緒にいる理由は…莉音が好きだから…
 莉音を守りたいから。
 一緒にいるより、一緒にいたいんだよ俺が。」

「っ…ごめんなさい…」
俯く女。

「お前にも、きっとそう思えるヤツができるよ」
俺は、そう言ってその場を離れた。
なんだか、泣いている女を見ると…強く責めることもできなかった。




この時の俺は、バカだった…。
これだけで…
全てうまく片付くわけなかったのに。






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