はだかの王子さま

 心臓がはれつしそうに、どきどきする。

 抱きしめて密着している星羅の体温が、直接カラダに伝わって来たんだもんっ!

 そして、星羅は、わたしの首筋あたりに顔を埋めて、眠っているらしい。

 星羅の息がかかるたび。

 初めての感覚に、ぞくっ、ぞくっと、肌が、過剰反応した。


 こ……これは、くすぐったいって、感じ……?


 ううん。


 違う。


 カラダの奥がじわっと熱くなる感じ。


 恥ずかしいけど。

 本当に恥ずかしいけど、そのカクシンの部分に星羅のキレイな指が、届いてほしい、って感じ?


 ウズく?


 とても近いけれど、それも違う感じがする。


 ……切ない……


 そう。

 それ。

 そんな感じ。

 星羅は、正体は狼男のクセに『紳士』っていう、今の時代には、絶滅寸前みたいな生き物だから。

 わたしが嫌がりそうなことや、無理なことは、絶対しない。

 昨日言ったように『真衣がオトナになるまで、待つ』と言ったのなら。

 本当に、わたしがオトナになるまで、大切な所には、指一本触れずに待つだろう。

 なのに、わたしの方だけ……っ!


『もっとちゃんと触ってほしいな』なんて。


 ……とても、言えない。

 
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