はだかの王子さま

 でっかい影の手に捕まって、空高く消えて行った星羅のコトを、思いだした……!

 なんとかしなくちゃ!

「こんな所で、ゆっくり寝てる場合じゃ……!」

 思わず、飛び起きようとしたら!!


「痛たたたたっ!」


 全身がしびれるように、痛い。

 わたし、ハンドの空気の塊に打たれて跳ね飛ばされてたんだっけ。

 それでも、このままじっとなんて、してられない!

 力が入らない身体を、無理やり起こそうとしたら賢介のお母さんに、抱きしめられるように寝かされた。

「真衣ちゃん! 無理しちゃダメ!
 病院に連れて行ってもらわなくちゃ!
 もう、救急車のサイレン聞こえてるわよね?
 それに乗って一度、病院に行きましょう!」

 私も、一緒に行ってあげるから、心配ないよって。

 そう、言ってくれた賢介のお母さんには、悪いけど……!

「でも! 今は、病院なんて行ってる場合じゃ無くて!」
 
 あんなに変な別れ方をしたんだもん!

 ぼんやりしてたら、もう、二度と星羅に会えないかもしれない……!

 ただ、それだけが怖かった。

「美有希とハンドさんに星羅、連れてかれちゃったのっ!
 すぐ、追わなくちゃ……!」

「美有希……さん?
 真衣ちゃんや、賢介のクラスメートの?
 それに、ハンド?」

 賢介のお母さんも、シャドゥ家のヒトなんだよね?

 多分、起きた出来事を、素直に話して良いはずなんだけど……!

 自分自身に起きた、とはいえ。

 わたし自身が信じられない話しを、他人にしなくちゃいけないなんて!
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