はだかの王子さま
 どう話そうか迷っているうちに、白い救急隊の制服を着たヒトが、一人。

 わたしたちに向かって歩いて来た。

「救急隊、到着しました!
 要救護者は、どなたですか!?」

「は、はい、ここに……!」

 ヨウキュウゴシャって、誰のことだか、さっぱり判らなかったけれども。

 賢介のお母さんが、手を上げて、わたしのことを指差した。

「とにかく、詳しい話しは、病院でね?
 真衣ちゃん、さっきまで意識なかったし。
 今も、身体中痛むんでしょう?
 どこか、骨でも折れてたら、大変よ!」

 賢介のお母さんは心配してくれたけど。

 それを押しのけるように、救急隊員のヒトが、割って入った。

 なんだか少し乱暴ね?

 気のせい……かな?

 戸惑ってるわたしに、救急隊のヒトビトは、てきぱきと話しかけた。

「大丈夫ですか?
 ああ、現在は意識があるようですね。
 あ……そのまま、そのまま。
 起きなくて良いです。
 どこか痛む所はありますか……動かなければない?
 気分は……悪くない。
 まずは、お名前と、何が起きたのか、教えていただけますか?」

「彼女は、知人の娘さんで、内藤真衣。
 どうやら、高い所からでも落ちたみたいで……」

 そう、賢介のお母さんが、しゃべりかけた時だった。

 救急隊のヒトの目が、キラリ、と光ったような気がした。

「内藤真衣さんで、間違いないですね?」

 念を押す彼に『はい』と答えた、その途端だった。
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