はだかの王子さま
 えっ! それって、どういうコト?

 お父さんが……フルメタル・ファングが『覇王』じゃないの……?

『……』

 王さまの『言葉』は、耳で聞こえたけれど『意味』がまったく判らない。

 呆然と黙っているわたしを眺めて、王さまは、言葉を続けた。

『フルメタル・ファングが魔剣0と融合を果たした。
 直後『剣』は覇王を呼び、探す咆哮を轟かせたかと思うと。
 まるで、グラウェの存在を否定するかのように。
 ビッグワールド中のグラウェを使う、全てのモノが一時、停止した。
 ビッグワールドをあまねく照らし。
 消失すれば世界の存在危機に関わる『太陽と月のショウメイ』と、ありとあらゆるモノを世界の内側の壁に留まらせておく『ジュウリョク制御』は、即回復させたが、他は、未だ回復の見込みすら経ってなく、大混乱だ。
 もちろん。
 ゼギアスフェルの作った、忌々しい『炎の扉』も、例外ではない』

 ゼギアスフェルは、厚顔にも、自分が覇王の剣だと申して居ったが、現実を、見よ。

 本物の剣の力には到底及ばず、一吹きで、自慢の炎が消えてしまったではないか、って、王さまは、喉の奥で嘲笑った。

 そして、王さま自身は、扉の炎が消えるのを見て、ビッグワールドの大混乱を治める前に、単独でこっちへ来たらしい。

 一度、グラウェの流れが途切れた以上、扉がちゃんと繋がっているのか、判らず。

 他に何が起こるか判らないので危険だっていう、取り巻きの言葉を無視して。

『本当は、人の姿で来たかったのだが、扉をくぐり抜けた途端、服が消えてこの姿だ。
 ま、ヴェリネルラが怯えぬなら、人の姿のまま、真っぱだかよりマシだろう』

『ゼギアスフェルは、どこ!?』

『さあな。
 グラウェの炎を剣に無理やり取られて、無事ではなかろうよ』

 そんな怖いことを言って、王さまが近づいて来た。

『ゼギアスフェルなど忘れてしまえ。
 愛しいヴェリネルラ。
 そなたを一刻も早く、ヤツの魔の手から救うべく。
 危険を顧みず来たのだよ。
 そなたは、我を命がけで救ってくれたから』

『いいえ! そんなこと、してません!』

『我を嫌っているわけでも、心を閉じていたわけでもなく。
 ただ、恥ずかしかっただけなのだろう?』

『違います!』
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