はだかの王子さま
 だって、そうでしょう?

 お仕事で、誕生日にいられない……って言うのは仕方ないと思ってる。

 けれども、よりにもよって他の『男の子』と一緒にしたら、なんて!

 星羅が何を考えているのか判らなくて、すごく怖かった。

 ぐるぐるいろんなことを考えて、思ったことは。

 本当は、わたしのことを好きじゃないのかな?

 ……ってこと!

 父さんは、フェアリーランドの技術部長で、いろんなこと知ってるけど。

 わたしは、お父さんに教えられた分だけ、ちょっと秘密を知っているってだけのただのヒトだ。

 どこから見ても、普通の人間の……高一の女子じゃ……

 ……たいしたこと、ないって、思っているのかな?

 去年のクリスマスに人間の姿を手に入れて以来、初めての誕生日なのに!

 わたしの隣に、星羅じゃない違う人がいて、一緒にケーキ食べてても、いいの?

 しかも、その日は、お父さんも仕事でいないのに……いいの?

 誕生日を楽しく過ごす方法は、別なヒトを誘わなくても色々あるじゃない!

 例えば、そう。

 お仕事の間に一本、電話でもかけてくれれば、満足なのに!

 なんだか、とても悲しくなって、目の前に居るお父さんを見上げたら。

 お父さんまで「桜路が他の男と過ごしてもいいと言うなら、それがいいんじゃないか?」なんて言いだした。


 なによそれ!


 あり得ない!


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