はだかの王子さま
『ワルプルギスのよ~~る!』

 デッキブラシのどこからか、子どもが、楽しげに笑う声が響く。

 それに続いて、玄関に整列してた家中の雑貨が、全部、がさがさ、どん、と動き出した。

 そして『叫ぶ』

『『ワルプルギスの夜、万歳!! 王様万歳!!』』

 その途端。

 雑貨たちはみんな、一斉にジャンプした。

 そして床に落ちる寸前。

 ちゃんと並んでいた列を乱して、ぱっと散り、それぞれ、楽しそうに踊るみたいにくるくる回る。

 ワ……ルプルギスの夜……!?

 何よそれ!?

 そう、口の中でつぶやいたつもりの声が、星羅に聞こえたらしい。

 彼は、玄関の入口に置いてある靴の上に、そっとわたしを置いて言った。

「四月三十日の夜から、五月一日にかけてが『ワルプルギスの夜』って言うんだ。
 人にあらざるモノ達のお祭りの夜なんだよ」

 ……え?

 それって、わたしと、星羅の誕生日のことじゃない!

 そして、五月一日はフェアリーランドの休園日で……

 驚いているわたしに、星羅はちょっと笑って言った。
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