Waver まだ見ぬ春

体育館に着くとお父さんとお母さんがワッと私を抱きしめた。


「い…生きていてくれて良かったわ」

「親にこれだけ心配させて…母さんによくお礼を言いなさいっ」

「もういいのよ。
校長先生に一生感謝しなきゃね。お礼をしに行きましょ」


そう言いながら二人とも子供みたいに泣いていた。


お父さんのタバコの香りがするトレーナーにお母さんの料理の香りが染み付いたエプロン

震災前と変わらない日常。


家族が一緒にいるというあたたかさ。


不覚にも
失いかけて初めて分かった。

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