あなたの隣は…(短編集)

「素直じゃないのね、静君は。あ、でも優貴もか。」
「何が?」
「いいのよ、恋する乙女は知らなくて。」

口に手を当てて「ふふふ」と笑う麻芽は、正直不気味だ…。
可愛い顔であの笑い方は…ない。


その後、麻芽は「それじゃあね」と自分の席に戻って行った。

あたしは自分の隣の席を見つめて、ため息を吐いた。
隣の席…静の席には、誰も座っていなかった。

まだ戻って来ていないのか…
どこ行ったんだろ…

まさか…まさかまた女の子からの呼び出し!?

あたしが焦り出した頃、教室の扉が開き静が入って来た。
それを見て、あたしは安心した。

でも静は、いつもみたいにヘラヘラ笑っていなくて、凄く真面目な顔をしていた。

どうして…?

あたしは、心配になって声をかけようとしたけど、かけれなかった。

あんな真剣な顔、あたしが階段から落ちて入院した時以来だ。
8年前、あたしは静と遊んでいて、足を滑らし階段から落ちてしまった。
足の骨を折って、少しの間入院していた時に静が、静のお母さんと見舞いに来て、あたしに小指を差し出して真剣な顔で言ったんだ。
「僕が責任を取る。大きくなったら結婚する!約束する!」


今、今の静の表情で、あの場面を思い出した。

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