僕はショパンに恋をした
俺は、バルコニーから見える、客に目をやる。

ここのコンサートホールは、とても音響の良いホールだ。

収容人数も半端じゃない。

そのホールのでの、シオンのコンサートチケットは完売だった。

曲数が少なく、ソロ曲だけにもかかわらず。

「すげー人数だな…。」

シオンは俺を見て笑う。

「それってプレッシャーかけてる?」

「あ、いや!ちがっ…!」

焦った俺は、慌ててペットボトルを落としそうになった。

シオンはお腹をかかえて笑う。

「何だよ…、そんなに笑うこと、ね〜だろぅが…。」

言いながら俺も笑う。

二人で、ひしめき合う観客の流れを見下ろす。

「あっと言う間だったね、一か月。」

「そうだな。うん。ほんと、あっと言う間だったな。」

俺は、やっぱり客の流れを見ながら思い出す。

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