僕はショパンに恋をした

旋風

俺達は、疲れていたのもあって、用意された布団に入るやいなや、あっという間に眠りに落ちた。

朝、目覚めた時には、シオンはもう起きていた。

離れの庭から、俺が起きたのを見ると、手招いた。

「おはよう。こっちこっち。」

俺はぼさぼさの髪で、浴衣だけを少し直して、庭に出た。

シオンが指差す方を見ると、きれいな紫陽花が咲いていた。

「あれ、何て言う名前?」

「あじさい。」

へぇ、と、まじまじと見る。

これは?これは?と、次々に聞いて来る。

一つづつ答えながら、くすっと笑ってしまった。

「…何?」

シオンが聞く。

「いや、わりぃ。俺も子供の頃、そうやって女将に聞いてたんだろうなぁって思ってさ。」

忙しい女将、よく相手をしてくれたものだ。

「僕は子供じゃないんだけどなぁ。」

シオンは、少し不本意そうに言った。

その時、朝食の用意が運ばれてきた。
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