先輩とあたし【完】


「おっ~俊哉~朝からマネージャー占領かよー」
「田鍋、俊哉だけのために働くなよ~」男子の先輩が私たちをからかってくる。

「え?伊織は俺、専属マネージャーだぜ」そう言いながら私を引き寄せる。
「俊哉くーん。それは俺が許さないよ~」後ろから出てきたのは稲森先輩。
「准弥に一番、渡したくないし」
「えー何でだよーいいだろー伊織ちゃんはサッカー部のお姫様なんだからー」稲森先輩は私の前に来て私の顔の高さに合わせてしゃがんで見つめてくる。

「だって准弥、伊織とお笑いみたいに楽しくするしよー」
「えっ?」私は先輩の言葉にびっくりして尋ね返す。
「俺、これでも嫉妬してんだぜ。准弥が伊織、伊織っていうから」頭を優しく撫でながら嬉しいことばっかり言ってくる先輩。
「先輩…」私は先輩に笑顔を送ると先輩も笑い返してきた。
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