5つの欠片
「……んん………峻くん…」




まるで寝言のように漏れ響いた栞の声……
目を瞑ったまま呟かれたその言葉に俺の体は勝手に動いていた…




「栞…」




栞の肩に手をかけてぐいっと引き寄せる。
もう気持ちがとめられそうになかった…




なんだよ…
そんな可愛い声だして…



寝てる時にまで俺を呼ぶなんて…




俺は栞の髪の毛に顔を埋めて、ぎゅーと強く抱きしめた。
肩の上に顔を乗せると、柑橘系のいい香りが脳内をうめつくす。




綺麗な黒色の巻き髪がふわっと動いて、頬に栞の頬が当たった。




「…ん……峻くん…?」




相変わらず俺と一緒で寝起きは悪い。
でも、こんなに甘えたの声を出すのはこの時が一番多いんだ…
この声がなんともいえない…




「やっと起きた?」



「…峻くん…帰ってたの……?」






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