ハチミツ×シュガー



 10分ほど歩き、あと少しで私のマンションに着く時。



「楓」


 毎日聞いてる声が、私を呼んだ。



「――皇!」


 私達から10メートルほど離れた十字路の道、皇は自転車に乗っていた。

 私が走って駆け寄ると、皇は自転車から降りて……

「お帰り」

 そう言って、柔らかい笑顔で私の頭をいつものようにポンと叩いた。



「あの、斉藤くんと西城くんと一緒に帰ってね」

 振り向くと、頭をかきながら「よっ」と皇に手を振る斉藤くんと、無表情の西城くん。



「二人と、ね」

「え?」

「いや、何でもない。
 今日はカレーだよ。お腹空いたから早く帰ろ」


「俺、こっちだから」


 斉藤くんが右を差しながら、『じゃーな』と歩いていく。



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