ハチミツ×シュガー



 *******


「楓、行くぞ」
「ちょっ、ちょっと待って!……痛っ」



 慣れない格好をすると、ろくな事がない。



 案の定、履き慣れないサンダルのせいで靴擦れをした。




「……そんな格好するからだよ」


 小さく溜め息を吐くと、皇は呆れたように私を見下ろす。



「だって…っ」


 相変わらず、周りの女子の視線が痛い。


 土曜日の午後。少し離れた街の映画館に皇と二人来た。

 映画館に向かう途中、食事に向かう道すがら。
 どこへ行ってもこの端正な顔をしている兄のお陰で、女子の視線が半端ない。

 少しは女子力上げないと、私だってへこむ。



「ここで待ってろ。
 コンビニで絆創膏買ってくる」




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