ハチミツ×シュガー
12



 水族館から帰り、玄関を開けると……



「皇…?」


 廊下も、リビングへのガラス扉の向こうも、真っ暗だった。

 そのまま皇の部屋の扉をノックする。


「皇? ねぇ、寝てるの?」




 物音一つしない。

 始めての事に、不安が広がる。



カチャ…


 部屋を開けてみたけど――


「……皇?」


 やっぱり、真っ暗。




「……出かけるならちゃんと言ってよ…」



 皇が私に黙ってどこかへ行ってしまった。


 こんなの始めてで……

 気持ちが落ち着かないまま、私は自分の部屋に入った。



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