ハチミツ×シュガー



「真弓…?」


 ゼーゼーしながら後ろの席に座ると、バッと勢い良く顔を上げた。


「楓、おはよ!

 寝坊、しちゃって、遅刻、するかと、思った!」


 肩で息をしてる真弓が何だか可愛くて。

「ふふっ おはよう、真弓」

 私は笑ってしまった。



 あ…。そういえば斉藤くん。


 まだ話の途中だったのを思い出して、彼を見たけど。

 すでに他の生徒とお話中。



「もうっ聞いてよ!楓」

 真弓がプリプリ怒りながら私の背中をバシッと叩く。


「…っ 痛いよっ」

 真弓を恨めしげに見るけど、彼女は「それがさ、」何て話し始めてる。
 ……理不尽だわ。



カラカラカラ…

「よし、みんな席に着け〜」



 ドアって、開ける人によって音が違うんだと気付いた。

 私は真弓の話を聞く前に、前を向いて担任の話を聞いた。



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