ハチミツ×シュガー




 そっと、彼の横に並ぶように立つ。


 30センチの身長差は、私の視界に西城くんを映さない。

 ……から、その表情が見えなくて。



 私は深く息を吐き出し、彼の方を向いた。





「……西城くん。話がある」



 朝一で体育の授業はないのかな?

 窓の外は怖いほど静かで……私の声が、教室中に響いた。






「……聞きたく…ねぇな」


 フッと鼻から抜けるように、震える声で苦笑い。




 ――その瞬間、私の胸が痛んだ。



 ……でも。


「……聞いてほしいの」



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