ハチミツ×シュガー





 穏やかな空気。



 斉藤くんに目をやって、皇を見る。


 皇は、洋子ちゃんと真弓に問題の解き方を丁寧に教えていた。



 その姿を見て、私はなぜか寂しくなって、胸がキュンと痛くなった。



 ――西城くんに……会いたい。


 そう、胸の中で呟いた瞬間。


〜〜♪ 〜〜♪


 私の手の中の携帯が鳴りだした。



 慌てて見てみると、西城くんからの着信。

 私はそのままリビングを出て、玄関前で一呼吸した。



 ――みんなは気づいてるみたいよね。何も言わずニヤニヤしてた。


 ……後で絶対、冷やかされる。



ピッ

「も、もしもし…」


 さっきの胸の呟きを彼に伝えたら、またバカにされるかな…?



『――出るのがおせぇよ』


 優しいその声に、涙が出そうになる――…



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