Only One
『じゃ、針入れますね、チクッとしますけど我慢してくださーい』
「――…、」
『はい、終了です。でも、本当にうらやましいです。あんなに自分のことを思ってくれる方がいらして。』
「え??」
看護師さんは採血の後片付けをしながらつづけた。
『ここだけの話、天野さんがお目覚めになるまで毎晩いらしては、彼、面会時間ギリギリまで天野さんのそばにいらっしゃったんですよ。』
「っ……!」
看護師さんから聞いた話は、私を驚かせるのには十分の内容だった。
『それで、毎日天野さんの体調を先生にお聞きになられて。心底天野さんを心配していらっしゃることがわかりました。』
「郁人さんってば、そんなことを…。」
目覚めたときの、郁人さんの安堵した表情を思い出す。
私は郁人さんに、どれほどの心配をかけたんだろう。
どれほど彼を不安にさせたのだろう。
自分の仕事で忙しいはずなのに、毎日ここに通ってくれていたなんて…。
『そのマフラー、彼に喜んでいただけると嬉しいですね。では、次は夕方に心拍数とまたバイタル取りに来ますね。安静にしててください。』
「はい。」
『彼とお幸せに。』
~~っ///
笑顔でそう言うと、さっさと出て行った看護師さん。
誰もいない病室の中で、私はしばらく郁人さんへの愛を込めながらマフラーを編んだのだった。