規則の守護者
「通れないのよ」


それでも少女は、今回は通れない。

瑞緒が通さないから。


指先に触れる銃が、妙に冷たい。


『誰も守ってねぇじゃんか』


ああ、と瑞緒は嘆く。

皆が規則を守っていれば。
守らせていれば。

規則は、たとえ透明でも丈夫な壁となったのに。


そうなれば、違反は減っていただろうに。


そうなっていれば。

彼女が当たり前のように規則を守っていれば。


私は彼女を、撃たずに済むのに。



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