規則の守護者
ある夜、茜は初めて、1人での見回りへ出かけた。

鋭い光を放つ街灯が、夜目に眩しい。


寒さは、高鳴る心音に紛れて気にならない。

緊張と、僅かな気合い。

……やっと、自分で違反者を取り締まれる。

静かな怒りと憤りが、弱気な茜の足を、前へと進めていた。


ふと、茜のポケットの中で携帯が震える。


『……茜。

大丈夫?
緊張しているでしょう』


茜の予想通り、電話の主は瑞緒だった。


「……大、丈夫です。

今の所、こちらは異常無しですが……

違反者を見つけたら、ちゃんと撃ちます」


……答える声が震えたのは、きっと、寒さのせいだ。

電話の向こうで、瑞緒が息をついた気配がする。


『あなたが、撃てる?
本当に?』


問い掛けられた声は不安げで、茜は少し気に障った。


「撃ちます。
大丈夫です。

高井さんだって、僕にできると思ったから、見回りに出してくれたんでしょう」


だったら、と、瑞緒は低い声で告げる。

冷静で抑揚の無い、仕事の声。


『観察カメラによると、30メートル先の路地を右折した先で、銃の取引が行われているわ。

私も今から向かうけれど』


茜は、即答する。


「それじゃ時間がかかる。
僕が行きます」



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