規則の守護者
瑞緒は、茜の抱えていた銃へ手を伸ばすと、自ら抱えだした。


「高井さん?」


怪訝そうに尋ねる茜に、瑞緒は静かに問い掛けた。


「ハンカチ、持っているでしょう?」


あわててポケットを探る茜を、瑞緒はなぜか幸せな気持ちで見ていた。


『お前に銃は似合わない』

『こいつは撃つ女だ』


瑞緒は、茜と男のやり取りを、情報板で見聞きしていた。

茜は善い人だと、瑞緒は思う。

瑞緒には、足りないものが多すぎた。

優しさも、悩みも、涙も。


「私には必要ないのに、あなたにハンカチは必需品ね」


茜がいてよかったと、瑞緒はただ嬉しかった。



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