空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
「絢ちゃん、飲み物取りに行こうよ」
「うん」
「グラス持って行く」
颯太くんは優しかった。
ドアを開けておいてくれたり、グラスを持ってくれたり……。
「あ、待って。髪食ってる」
口に入っていた髪を取ってくれたり……。
カラオケルームに入ると、由美と亮くんは奪い合うように選曲していった。
ふたりはムードメーカー的な存在。
場を盛り上げてくれる。
あたしは隅のほうのソファに腰かけ、由美と亮くんの様子を眺めていた。
すると、颯太くんが近づいてきて言った。
「絢ちゃん、隣座っていい?」
「颯太くん、うん。どうぞ」
「…てか俺、絢ちゃん……すっごいタイプ」
「へ?」
「…絢って呼んでもいい?」
爽やかな颯太くんが照れながら言うから……、
なんか、恥ずかしくなってきちゃう……。
「…うん……いいよ」
「よかった……いやだって言われたら、どうしようかと思った」
「……颯太くん…赤くならないでよ……」
「え!? いや、えっ!? なんで……」
「あの……あたしまでなんか、移っちゃう!」
「あ……ごめん!」
なんか、颯太くんは空気みたい。
自然にその場に溶け込む。そういう存在だと思う……。