空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜


しばらく颯太くんと話していると






「颯太! 次、お前歌えよ」


「陽、俺パス」






マイク越しに陽くんが歌うようにうながした。


たしかに、
せっかく来たのに歌わないのはもったいない……。







「颯太くん、歌って!」


「あー…。じゃあ、あとで絢も歌って!」







そう言って颯太くんは、しぶしぶ選曲をしマイクをとった。


きれいな声……。
低音ボイスが少し切ないラブソングに合っている。

颯太くん、歌上手なんだ……。







「颯太のこと気になる?」


「由美」


「気になる?」


「ううん。ただ、いい人だなって思う」


「よかったぁ……」


「え?」


「だって……絢が颯太のこと好きになっちゃったらかなわないもん」






かなわない?

その意味が分からずキョトンとしていると、由美が顔を赤く染めた。







「あたし、颯太のこと好きなんだぁ……」


「そうなの!? じゃあ、あたし邪魔だよね……」


「違う違う。絢は邪魔じゃない。でもわかる。颯太は絢が気になるんだって……」


「由美?」


「絢が颯太のこと何とも思ってないなら……協力してね?」


「もちろん! あたしになにかできるなら言って!由美に協力する!」







由美の相談にのれたことがうれしかった。
そしてなにより、まっすぐに恋をしている由美が素敵に見えた。


そのあと、カラオケの間、由美を見ていると、たしかに颯太くんを好きって感じ……。


恋する乙女……。






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