空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜


奈菜の決意と、優の想いを由美から聞いた


自由行動は楽しかったけど……
奈菜のことと優のことが頭から離れなかった


ホテルの部屋で荷物の片づけをする。

修学旅行なのに……陽は欠席で……


どうして来なかったんだろう……。

大水槽の前で、告白するつもりだった。
もう一度、陽と笑いあいたかったから。


でも、その想いはかなわない





「桜樹くんは絢が大好きなんだよ」


「奈菜?」


「なにをするにも“絢ってさ”って。本当にうらやましいな」






優に『陽より先に告ってたら?』と聞かれたとき……
本当はどっちなのかわからなかった

好きになっていたのかもしれない、でもそうじゃなかったのかもしれない


きっと、その状況にならなければわからないこと



前に優は教えてくれた。
本当の愛情がなにかを……。






「あたしね……、陽と付き合って相手のことを思って身を引く……そういう愛し方もあるんだって知った」


「桜樹と奈菜は同じ考えだと思うよ」


「どんな?」


「自分の気持ちに正直に生きる。愛するってこと」






今のあたしには無理なこと。

陽……
あたしのことを想ったのはいつ?

あなたは今、だれを愛していますか?






「いいんだぁ、あたしは……。陽が幸せならそれでいい……」


「絢?」


「陽の笑顔はあたしの元気になる。今でも陽のことを想って目を閉じたら思い出せるから」





由美にニコッと笑いかけた。

もしも
あたしと陽が見えない絆でつながれているとしたら


どんなに離れても、また想い合える


だから……

つらい別れだったとしても
出逢ったことには必ず意味があるって信じているから。










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