空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜



由美……。

“あたしもそのくらい想ってもらいたかった”ってどういう意味?





「絢! 聞いて!」





その時、由美が元気よくあたしに抱きついてきた。
あたしは動揺を隠しきれないまま、慌てて陽のケータイをポケットに突っ込んだ……。





「どっ……どうしたの?」


「絢? どうかした?」


「う、ううん!」






ダメ、こんな態度じゃばれちゃうよ……。

でも……。
由美はあたしに話せないことたくさんあるのかな?


メールのことより何より、
話してもらえないことがつらいよ……。



あたしは不安だった。
こんなもやもやした気持ちで、陽と楽しい文化祭なんて過ごせない。

あたしはもっと由美の相談に乗ってあげたい……。


ダメなのかな?






「そ、それでどうしたの?」






一瞬にしてそんなことを考えたけど、あたしは無理やり笑顔を作って由美に話を振った。





「颯太がね! 文化祭来るって!」


「そ、そうなの!? よかったね!」





由美の話を聞きながら、
あたしの心は半分上の空。

その不自然な様子に、鋭い由美はすぐに気づく。






「ね、絢? さっきから変だよ。心ここに在らずって感じ」


「ごめんね……」


「なにー? 陽くんに文化祭に誘われたとか?」






由美は平然と陽の名前を口にした。
普通にしている由美からは考えられないあのメール。

なんだろう……?





「そ、そうなの!」


「きゃー!マジ!? 絢、やる~!」





由美はあたしに抱きついて揺さぶる。
どうしたらいいの?あたしはなにを信じればいい?


疑問が消えない……。






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