子猫が初恋提供します。


「ただいまぁ」


と、玄関から疲れをにじませたママの声。


「おかえりー!…あれ?パパも一緒だったの?おかえりなさい」


お出迎えに走ると玄関には小柄なママの隣に長身の姿。今日は珍しくパパも一緒に帰って来てた。


「ただいま」


「帰ってたら一緒になったの。ね?ダーリン」


「………」


嬉しそうにパパを見上げるママに、パパはあまり表情を変えずに首の後ろをかいた。これはわかりにくいけどパパの照れた仕草だ。


万年ラブラブ夫婦は今日も健在で、互いに多忙にも関わらず未だに「ダーリン」とちゃん付で名前を呼び合い娘が呆れるくらい仲がいい。


嬉しそうなラブラブ2人には悪いけど、今日は一緒になってくれない方が都合よかったなぁ…なんてチラリとパパを見やって思う、爆弾を抱えたあたし。


…まぁ、なるようにしかならないしね!


パパが怪訝そうに首を傾げたけど、アハッと笑顔で一蹴すると料理の仕上げに取りかかったのだった。



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