子猫が初恋提供します。
「言わないなら…そのおいしそうな口、また食べるよ…?」
「~~~っ!!?」
あたしの唇を長い指でスル…となぞり……
まるで舌なめずりでもするかのように……妖艶な顔で、ぺろりと自分の唇を舐める……。
「いーよ?…言えなくても。
また、食べたいし……。」
「わあぁ~~っ!!?
夜…!夜!夜!!
言いましたぁっ!!」
本気で近づく綺麗な唇を必死に手でガードして、あたしは真っ赤な顔でありったけの声を出して名前を連呼した。
「………。」
彼は心なしか少し残念そうな顔をして
でも、すぐにニヤリと不適に微笑むと
「上出来だよ。…にゃあちゃん。」
「………!!」
あたしにたっぷりの余裕を見せつけた。
そして……あたしを閉じ込めていた長い腕を壁から離した。
それにあたしは少しほっとして…思わず、はぁ…とため息をついた。
だけど、彼の黒い瞳は相変わらずあたしを見つめたままで……
「ねぇ…にゃあちゃん?
俺は欲しいモノは絶対に全部手にいれる主義なんだ。
今、俺が欲しいのは…にゃあだから。
……覚悟しとけよ……?」
「……!!?」
ニヤリ…壮絶に美しく妖艶に微笑んで……
ひらり…手を振って帰って行った。
あたし、間違いなく、ヤバい……?
どうやらマジで変なイケメンに、惚れられたんですか………?
こうして、あたしの高校生活は
藤間夜兎というありえないイケメンによって、
――――おとなしくとはかけ離れた幕を開けた。