子猫が初恋提供します。




「言わないなら…そのおいしそうな口、また食べるよ…?」



「~~~っ!!?」



あたしの唇を長い指でスル…となぞり……



まるで舌なめずりでもするかのように……妖艶な顔で、ぺろりと自分の唇を舐める……。



「いーよ?…言えなくても。

また、食べたいし……。」



「わあぁ~~っ!!?

夜…!夜!夜!!

言いましたぁっ!!」



本気で近づく綺麗な唇を必死に手でガードして、あたしは真っ赤な顔でありったけの声を出して名前を連呼した。



「………。」



彼は心なしか少し残念そうな顔をして



でも、すぐにニヤリと不適に微笑むと



「上出来だよ。…にゃあちゃん。」



「………!!」



あたしにたっぷりの余裕を見せつけた。










そして……あたしを閉じ込めていた長い腕を壁から離した。



それにあたしは少しほっとして…思わず、はぁ…とため息をついた。



だけど、彼の黒い瞳は相変わらずあたしを見つめたままで……










「ねぇ…にゃあちゃん?

俺は欲しいモノは絶対に全部手にいれる主義なんだ。

今、俺が欲しいのは…にゃあだから。


……覚悟しとけよ……?」



「……!!?」









ニヤリ…壮絶に美しく妖艶に微笑んで……



ひらり…手を振って帰って行った。










あたし、間違いなく、ヤバい……?



どうやらマジで変なイケメンに、惚れられたんですか………?








こうして、あたしの高校生活は



藤間夜兎というありえないイケメンによって、



――――おとなしくとはかけ離れた幕を開けた。








< 36 / 256 >

この作品をシェア

pagetop