背後の彼
あの後

やっぱりお金払います
という私と

いいえ占ったわけじゃないんだから
という占い師の間で

しばらく押し問答が続き

結局どうしてもお金は受け取ってもらえず

私はすっかり恐縮して店を出たのだった。


あれほど占い師の事を胡散臭がってた私が
お金を払おうとするのだ。

占い師の話は

紛れもない事実だった。

「まぁ、ね。
そんな事もあったかな」

「えぇー!
本当なんだぁ」

「うん。でも高校の時の話だし」

「それはまぁ
そうだけど……」

やがてコーヒーが運ばれ
ウェイトレスが立ち去ると

同僚はしみじみ

ショックだね

と呟いた。
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