罪線

垣間見える怨の情

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『下校時刻になりました。校舎にいる生徒は、速やかに下校しましょう』


小学六年生の夏。夕焼けが眩しい帰り道。

友達もいない僕は、一人で下校していた。


「スクールゾーン……」


そう書かれた標識の中にいる一人の少年。

それと僕が妙に重なって見える。


「キミも一人ぼっちか……」


でも僕は当時から"淋しい"なんて感じた事はなかった。

友達が出来た試しがないから、友達が居る事の楽しさ、また居ない事の淋しさを実感したことがなかったんだ。


「お〜い!平岡く〜ん!待って〜!」


誰かと思い振り向くと、追い掛けて来たのは、増田ケンタロウ。

当時同じクラスで、頭脳明晰、運動神経抜群と、これ以上にない人気者タイプ。

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