誰よりも愛する君へ
少女は怒る母親を横目に掲示板に貼ってあるポスターを見ていた。

習ったばかりの平仮名を読む。

「し・ん・・ぞう・・・いー・・しょ・・・・・・く?」

看護婦のお姉ちゃんは少女に気付くと少女の隣に膝をついた。

「心臓移植って読むの。心臓を人から人に移すの」

「どうやって?」

「お腹を切って、心臓を取り出すの」

「しんぞういしょくすればみんな生きれるの?」

彼女は少し困った顔をして頷いた。

「・・・うん」
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