誰よりも愛する君へ
雨の日。
ピー------
という機械音が部屋中に響いた。
母親は泣いている。
中学生のお姉ちゃんもお兄ちゃんも。
なんで泣いてるの?
少女は困惑気味だった。
「ねぇ、お母さん。なんで泣いてるの?お腹痛いの?風邪ひいたの?なんで?」
母親は真っ赤な目をして少女を抱きしめた。
「お父さんね。旅に出たの。ちょっと会えないけどお別れじゃないよ。ちょっと離れるだけだから・・・」
「お母さん。腕が痛いよ・・・お父さん退院出来るの?」
母親は顔を横に振った。
「旅に出るの」
少女は父親に歩み寄った。
そして、いつもの笑顔でニコッて笑った。