せーの、で忘れてね
え、神社で何すんの?とキョトン顔だった住吉も、あたしに促されるまま運転を始めた。
その間、2人は何も話さなかった。
ポーン
「もうすぐ、目的地です」
ナビがそう言った途端、大きな赤い鳥居が見えた。
「ハイ、降りて降りて。 境内までいくよっ」
あたしは住吉の手を引く。
こうやって、高校時代も住吉の手を引いたこと、あったっけな。
小さい頃、近所のお兄ちゃんが教えてくれた。
嫌なことは忘れたい、っていうのが人間の気持ちだけど
嫌じゃなくても、自分の成長のために忘れたいこと、忘れなきゃいけないことってあるんだよ
そうしたら近くの神社の境内に行って
目をつぶって大きく1歩前に出る。
「せーの」っていいながら。
そしたら楽になるもんだから。