せーの、で忘れてね
「せーの、で忘れよう!!」
「は?」
「あたしが大事にしてたおまじない。 ホラ、あたしの家って神社とすごい近いからさ、小さい頃近所のお兄ちゃんが教えてくれたの」
「何のおまじない?」
「辛くなくなるおまじない。 忘れなくてもいいの。 これやると、すうーっと楽になるから、気持ちが優しくなれるの」
住吉の手を両手で握りしめながら、あたしは真っ直ぐ前を向いた。
「住吉、目をつぶって。 風の音を、よく聞いて」
あたしも同時に目をつぶる。
「あたしがせーのって言ったら、繋いだこの手を離して大きく1歩前に出てね」