†穢れなき小鳥の殺し方†

ミカは俺の客の中でも一番の上客。

どこまでも甘い言葉を囁いて、優しく尽くして――


かなりの時間が経ったと思う。


「ショウさん、いいっすか?」


スタッフの声に俺は『仕方ない』とでも言いた気に顔を歪めて、


「悪い、ミカ。ちょっとだけ席外すな?」

「ちょっとぉ、今一番盛り上がってんのにぃ」


立ち上がろうとする俺の袖をミカがつかんだ。

だから座りなおして、苦笑を浮かべながら彼女の手に自分の手を重ねる。


「すぐ戻るって。俺もミカと飲んでるほうが楽しいし」


そう言うとミカは唇を尖らせながらも、


「本当にすぐ戻ってきてね?」


と俺の袖を離した。


そして――、


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