俺様王子の初恋
コーヒーは苦手、というか
苦くて飲めない。
着替えながらそう言うと
小さく舌打ちした彼は
部屋から出て行って
代わりに、とココアをくれた。
「 コーヒー飲めねぇとか、ガキ 」
「 飲めない人なんていくらでも
いるじゃないですか 」
「 俺はそんなガキ、お前くらいしか
知らねーよ 」
相変わらずの毒舌、というか
いじりっぷりに思わず笑いが出る。
私がココアを飲み干すと、
彼は私を抱き上げて洗面所に
連れて行ってくれた。
「 泰雅先輩 」
「 なに? 」
「 なんれわたひほほにいうんれふか?
(なんで私ここにいるんですか?)」
歯磨きしながら彼の方を見ると
笑いながら彼は私を小突いて
水の入ったコップを手渡してくれた。