俺様王子の初恋





「 飽きた 」





そう言った先輩が、私に
”行くぞ”と手を差し出して
その上に手を重ねると、すっかり
空気の冷めた写真部の部室から
私たちは出た。





「 なぁ、葵 」


「 ・・・はい 」


「 放課後、絶対来いよ 」








先輩の背中を見上げながら、
少しだけ赤くなった耳を見て、












「 ・・・・・はいっ 」






思わず、笑ってしまった私を
先輩は少し睨みながら、
強く手を握られた。










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