俺様王子の初恋

保健室





彼のブレザーを頭からかぶって
顔が分からないように彼の胸に
顔を押し当てた。




そんな私の行動に、ふっ、と
小さく笑うけど 彼は相変わらず
堂々と廊下を突き進んでる。




不思議なことに、彼が歩いていると
自然と周りは道をあけてくれる。




”一条くん”




彼の一番大事なことを
知れた気がする。




女に慣れていて意地悪な
彼の名前。
苗字だけ・・・だけど、
無性に嬉しくて、口元が
緩んでしまう。




バレないように。
そう思えば思うほど
彼のシャツを握った手には
自然と力が入ってしまう。






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