俺様王子の初恋
囲まれた時点で、頭の中で警報が
鳴った気がしたけど、逃げようにも
足が竦んで動けない。
「 着てみてよ♪ 」
飛び交う質問を遮って聞こえた声に
顔を上げると、目の前から伸びてきた手が
私の制服のボタンを弾き飛ばした。
「 ・・やっ!! 」
「 一条先輩に見てもらうんだから
可愛くしなきゃね? 」
ゾクリ、と寒気がして
ドアノブに手をかけた。
──────ガチャッ、ガチャガチャッ
ドアノブを回す音だけが響き渡る。
震える左手を右手で押さえながら
ドアを開けようと押したり引いたり
何度も何度も繰り返したけど、
ドアは開かない。