C'est la vie!
「こんな夜更けにどうしたんだい?」
私は体から漏れ出る動揺を必死に押し隠して、タバコの火を消すとレイを見上げた。
レイは物珍しそうに目を細めてその様子を見ていたが、敢えて深くは聞いてこず、まっすぐに私を見てきた。
「ヘンリーさん。あなたにこれを返しに」
レイはそう言って、一冊の日記をずいと突き出した。
日記―――…
私は目を開いた。やっぱりレイが持ち去っていたのか。
……ってことは、見られた…?
本当は今すぐにでも日記を奪い去りたかったが、私は空咳をして余裕を見せてみた。
「人の日記を見るなんて、あまり自慢できる趣味じゃないな」
レイは差し出した日記をちょっと上に上げて、口の端をゆがめた。
「俺、日記なんて一言も言ってないですけど?
ついでに言うと、俺はあなたを“ヘンリーさん”と呼んだんですよ?それに関してあなたその名前を知らないと、否定しませんでしたね」
レイ―――……
…………ぼぉーーーーーっとした、天然の坊やだと思ってたが、私は彼を甘く見ていたようだ。
落ち着けクロウ。このこましゃくれた似非天然レイに怒りを見せたら私の負けだ。
落ち着け…
落ち着けるかーーー!!
クソガキめっ!!!