名前の無い物語

関係無かった


他人と関わる事すら、俺の人生には無くて
『セカイ』は、俺一人だったのに…



「随分動揺してるみたいだね。」



「!」声に吉野は咄嗟に左を向いた
吉野から少し離れた所に


一人の少女が、微笑みながら近づいてくる


どこかその少女の笑みが怖くて
吉野は一瞬肩が震えた




「どうだった?久しぶりに感じた…他人との触れ合い。」


クスリと笑って
少女は吉野を見つめる



「お前に何が分かるんだ…ーー?」


言葉の途中で吉野は気づく


彼女が身に付けている、自分と同じ制服



「正解。私も君のクラスメートでーす。」



何の感情もこもっていないまま
少女はてへっと笑った



気味が悪い


吉野は咄嗟にそう感じた


ただ1つ、言えること



コイツはただのクラスメートじゃない



「思った通り、混乱してるみたいだね。『本当の自分』と、その間に挟まれちゃしょうがないか。」





< 262 / 595 >

この作品をシェア

pagetop