名前の無い物語
関係無かった
他人と関わる事すら、俺の人生には無くて
『セカイ』は、俺一人だったのに…
「随分動揺してるみたいだね。」
「!」声に吉野は咄嗟に左を向いた
吉野から少し離れた所に
一人の少女が、微笑みながら近づいてくる
どこかその少女の笑みが怖くて
吉野は一瞬肩が震えた
「どうだった?久しぶりに感じた…他人との触れ合い。」
クスリと笑って
少女は吉野を見つめる
「お前に何が分かるんだ…ーー?」
言葉の途中で吉野は気づく
彼女が身に付けている、自分と同じ制服
「正解。私も君のクラスメートでーす。」
何の感情もこもっていないまま
少女はてへっと笑った
気味が悪い
吉野は咄嗟にそう感じた
ただ1つ、言えること
コイツはただのクラスメートじゃない
「思った通り、混乱してるみたいだね。『本当の自分』と、その間に挟まれちゃしょうがないか。」