名前の無い物語
「どうせアイツは来ねぇよ。そんときは、練習通り川崎に走らせる。」
「うん…。」
返事はしているものの
後藤彩夏の考えは彼にはすぐ分かった
滝川を、仲間に入れてやりてぇんだろうな…
彩夏はいつもそうだ
今のクラスが全員仲が良いのだって、彩夏の存在があったからこそ
こいつは見捨てられねぇんだよ
同じクラスになったら…みんな…
「…駿介?」
彩夏の言葉に、駿介は我に帰る
彼女が指差す先
そこには、奇妙な動きをみせる黒い影のような物体が存在していた
「何なんだ?」
「分からない…。」
でも、ただ1つ分かること
ただ事では、ないということ
その瞬間
「!」
「彩夏!!」