名前の無い物語

一瞬だった
そんな声が聞こえた瞬間、吉野の足は止まって
崩れるように倒れていった


「ハッ、ハッ…。」

呼吸が出来ない
上手く息を吸えない

でも、酸素を…

欲求に肺が追い付いていない
けど、少しずつ視界は安定してきた


「滝川!」

「滝川君!」

起き上がる吉野に
クラスメート達は一斉に駆け寄る

その中心には、駿介と吉野


「長瀬…。」

「…。」

何も言わずに
駿介はゆっくりと吉野に歩み寄る

近づいたと思ったら
「!?」吉野の首に腕を回して


「お前…最高っ!!」

その声を合図に
クラスメート達は二人を取り囲んだ



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