名前の無い物語
「「は?」」突然の言葉に全員が同じ方向を向く
その視線の先には、文字を見つめる吉野の姿
「吉野お前…読めんのか?」
「あ、あぁ…。世界各地を飛び回るソードマスターは、どんな文字でも読みとれる魔法が与えられるんだ。
俺も、ソードマスターを目指してたから…。」
最後の方は、どこか声が小さくなっていった
本当なら
今ごろ俺も…ソードマスターになれてたかな?
「…吉野。」ハッと我に帰ると
悲しそうに見つめる三人の姿があった
「そんなに暗くなるなよ!俺はもう気にしてないんだから…。
これ、どうやら説明書みたいでさ。続き読むよ。」
この空気を早く変えたくて
吉野は話題を元に戻す
「…『汝の秘めたる能力を供物として捧げよ。さすれば天空への道が開かれん』。」
読み終えた吉野
だけど、また謎が増えた
「秘めたる能力なぁ…。」
「普通の能力でいいかしら?」
柚歌は立ち上がって、取手を握る
徐々に能力を解放していった
が、エレベーターは動かない
「やっぱりダメか…。」
「やっぱり、天使の魔法の事を指すんじゃないか?」
その空の言葉に、海は自分の手を見つめた
天使の魔法
それと類似しているのは…
「俺にやらせてくれ。」