Bloody×Lovers
冷たい冷たい部屋の中。
いつもはいる母親が今日はいないため、変に静かだった。
膝を抱え、蹲る少女。
肩を揺らし、嗚咽を漏らしている。
ふと少女が顔を上げる。
窓の外の風景に目を見開き、
玄関から飛び出した。
「匡様っ・・・!?」
「どうした・・・?」
部屋の窓から見えた彼の姿に、戸惑う少女。
「何で、ココ、うちの前って・・・」
「さぁな」
少し皮肉そうに笑う彼の姿に、少女は自然と笑みを零す。
「ただ───・・・」
「ただ・・・?───ゃっ!」
彼は少女の頬に、手を添えた。
「塩水の、においがした・・・」
そして、少女の頬を伝う雫ををぬぐう。
優しい彼のテノヒラに、
全てを委ねられたらと、
切に願う。