Bloody×Lovers
近づいてくる男性の顔。
まつげが長いのが見える。
不意に、襟が開かれる。
「え・・・」
驚いて、硬直してしまった。
『ピチャ・・・』
響いた水音は、私の首筋に男性が舌を当てたからだ。
吐息が、直接首筋に当たる。
『ブツッ!!』
首筋が、一瞬痛くなった。
痛みはすぐに消えたけど・・・。
首筋はやっぱり熱い。
「ヴァンパイア・・・」
私から出てしまった言葉に男性はピクリと反応した。
「お前・・・」
男性が何かを言いかけたけど、私の身体は命令通りに動かず力が抜けてしまう。
「知っているのか?」
「何、を・・・?」
言葉の意味が、分からない。
「俺たちがどういう生き物かを」
「どういう生き物って、ヴァンパイア、なのでしょう・・・?」
ぼやける意識の中で、かろうじて紡いだ言葉。
必死に意識を保つ。
「・・・面白い」
男性が微笑んだのが分かった。
「飼ってやる、お前をな」
男性の瞳に吸い込まれそうになる。
「頭の回転が速いのは、悪い事ではない」
力の抜けた身体を支える男性の腕は私の身体を起こさせた。
「安心しろ、身体から力が抜けたのは単なる貧血だ」
「どういう、コト・・・?」
「お前は、ヴァンパイアにはしてやらない」
妖しげな瞳で男性は笑った。